仮取締役の選任(取締役がいなくなった場合の手続)
取締役が欠けた場合、又は会社法並びに定款で定めた取締役の員数を欠いた場合に、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時取締役の職務を行うべき者を選任することができるとされています。
この裁判所に選任された一時取締役の職務を行うべき者を仮取締役といいます。
仮取締役選任申立ての要件
@法律又は定款で定める取締役の員数を欠くこと
(1)取締役会を置く会社→取締役3名以上
取締役3名の取締役会設置会社の取締役1人が死亡した場合、取締役は2名となり法定の員数を欠くことになります。
この場合、取締役2名による取締役会の決議で株主総会を招集して、後任取締役を選任することが可能です。
取締役会の決議要件
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
定足数である取締役の過半数とは、原則現任取締役の過半数とされるが、現任取締役が法定又は定款の員数を欠く状態の場合、取締役の過半数とは、法律又は定款で定める最低限の員数の過半数とされています。
つまり、取締役会設置会社で取締役3名のうち1名が死亡した場合でも、残りの2名がともに取締役会に出席すれば取締役会の定足数を満たすので有効に取締役会で決議することができます。
(2)取締役会を置かない会社→取締役1名以上
取締役兼代表取締役1名の会社の取締役が死亡すると、取締役がいなくなってしまうので、株主総会を招集することができず、後任取締役を選任することができなくなります。
このようなケースでは、仮取締役を選任し、後任取締役選任のための株主総会を招集します。
このケースで、株主全員が出席すれば、招集手続を経ずに株主総会を開催することができます。
ただし、1人株主兼1人取締役の死亡の場合、その相続人が相続に係る株式の議決権を行使した場合、相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。
被相続人が債務超過の可能性があるときは、議決権の行使は慎重になる必要があります。
A必要があると認められること
原則として、法律又は定款に定められた員数を欠いた場合に、遅滞なく後任者を選任しなければならないから、後任者が選任されるまでの一時的に職務を行うものを選任する必要がある場合
・取締役全員が死亡した場合
・また、任期満了 又は 辞任により退任した場合であっても、健康上の理由 、意思能力喪失、所在不明 などにより権利義務を有することが不適切な場合
裁判所への仮取締役選任の申立て
管轄裁判所
会社の本店所在地の地方裁判所です。
申立人
仮取締役の選任につき利害関係を有する者ですが、具体的には、株主、取締役、監査役、会社債権者等です。
